自然からさまざまな恩恵を受けている私たちは、普段から自然を大事にしなければなりません。まして積極的に自然の中へ出かけ、バードウォッチングという形で深くふれあおうとすれば、自然に対してより心を配らなければならないでしょう。自然の恵みをより多く受けるからというだけでなく、自然の中へ深く入り込むことで影響を与える度合いが大きくなるからです。
野外活動でのこのような心遣い、つまり基本的なルールを「フィールドマナー」と呼びます。
日本野鳥の会栃木県支部では、(公財)日本野鳥の会が提唱するフィールドマナー「や・さ・し・い・き・も・ち」の7文字からはじまる標語の考え方に賛同し、その普及に努めています。
や 野外活動、無理なく楽しく
- 自然は、人のためだけにあるのではありません。思わぬ危険が潜んでいるかもしれないのです。知識とゆとりを持って、安全に行動するようにしましょう。
さ 採集は控えて、自然はそのままに
- 自然は野鳥のすみかであり、多くの生物は彼らの食べ物でもあります。あるがままを見ることで、いままで気づかなかった世界が広がります。むやみに捕ることは慎みましょう(みんなで楽しむ探鳥会では、採集禁止が普通)。
し 静かに、そーっと
- 野鳥など野生動物は人を恐れるものが多く、大きな音や動作を警戒します。静かにしていれば彼らを脅かさずにすみますし、小さな鳴き声や羽音など自然の音を楽しむこともできます。
い 一本道、道からはずれないで
- 危険を避けるため、自然を傷つけないため、田畑の所有者などそこにくらす人に迷惑をかけないためにも道をはずれないようにしましょう。
き 気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
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撮影が、野生生物や周囲の自然に悪影響を及ぼす場合もあるので、対象の生物や周囲の環境をよく理解した上で影響がないようつとめましょう。餌を与える行為も、カラスやハトのように人の生活と軋轢が生じている生物、生態系に影響を与えている移入種、水質悪化が指摘されている場所などでは控える必要があります。また、写真撮影や給餌、観察が地元の人や周囲の人に誤解やストレスを与える場合もあるので、十分な配慮をしましょう。
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も 持って帰ろう、思い出とゴミ
- ゴミは家まで持ち帰って処理しましょう。ビニールやプラスチックが鳥たちを死にいたらしめることがあります。またお弁当の食べ残し等が雑食性の生物を増やすことで、自然のバランスに悪影響を与えます。責任を持ってゴミを始末することは、誰でもできる自然保護活動です。
ち 近づかないで、野鳥の巣
- 子育ての季節、親鳥は特に神経質になるものが多く、危険を感じたり、巣のまわりの様子が変化すると、巣を捨ててしまうことがあります。特に、巣の近くでの撮影はヒナを死にいたらしめることもあるので、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。また、巣立ったばかりのヒナは迷子のように見えますが、親鳥が潜んでいることが多いので、間違えて拾ってこないようにしましょう。
(公財)日本野鳥の会では、2022年4月26日に「野鳥観察・撮影の初心者の方に向けた、マナーのガイドライン」を作成し、マナー順守を呼びかけています。