Accipiter Volume 26 (2021)

原著論文

渡良瀬遊水地における標識調査報告(2019)

山口恭弘・木村裕一・吉田邦雄・市川洋子・人見 潤

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において、2019年は、10月に台風19号が直撃し、洪水対策として約1.6億m3が河川より貯留され、遊水地が完全に水没し、その後も立ち入り禁止が続いたため、10-12月にかけての調査ができなかった。そのため調査は9月のみに限られ、新放鳥は19種234羽と例年に比べて極端に少なく、再捕獲も4種21羽であった。100羽以上新放鳥された優占種はコヨシキリの1種であった。例年行っているホオジロ科3種の比較や尾羽異常の調査もできなかった。

 

渡良瀬遊水地における標識調査報告(2020)

- 2019年10月の遊水池の冠水が鳥類に与えた影響 -

山口恭弘・木村裕一・吉田邦雄・市川洋子・人見 潤

渡良瀬遊水地で実施している鳥類標識調査において、2020年は39種2,319羽が新放鳥され、13種108羽が再捕獲された。100羽以上新放鳥された優占種は、コヨシキリ、アオジ、オオジュリンの3種であった。過去30年の平均と比較すると、カシラダカが非常に少なく、アオジがやや多く、オオジュリンが平年並みであった。尾羽異常を20種で調べたところ、13種で確認された。2019年10月に渡良瀬遊水地が冠水したことにより、それ以前と比べ、2020年はコヨシキリの捕獲数が増加し、オオセッカは減少した。冠水がそれぞれの繁殖環境に影響したものと考えられた。

観察記録

栃木県で初めて記録されたコシジロアジサシ

中村 仁

栃木県宇都宮市東岡本町鬼怒川河川で2021年5月19日にコシジロアジサシ1羽が観察・撮影された。本記録は栃木県で記録された本種の初めての記録である。

 

栃木県におけるヨーロッパトウネンの初めての記録

鈴木由清

栃木県小山市大字生駒の休耕田で2021年8月31日から9月1日にかけてヨーロッパトウネン1羽が観察・記録された。本記録は栃木県で記録された本種の初めての記録である。

 

水生植物の葉をついばむマヒワ群れの観察

横田隆史・横田敬子・平野敏明

栃木県日光市中宮祠の戦場ヶ原で2021年11月24日に、おもに種子食として知られるマヒワ30-40羽が湯川の川面の倒木の枝に掛かったササエビモの葉を水中から引き揚げついばむのが観察された。